漢方と中医学では、診断方法や生薬の使い方などにも大きな違いがあります。私は漢方の勉強をした後に中医学を学んだのですが、そのあまりの違いに驚かされてしまいました。例えば概念・用語などにも正反対を意味する場合があり、むしろ漢方を学ばなかったほうが、よほど楽に中医学をマスターできたのではないかと後悔したほどです。

現在、日本でも以前は近くて遠い存在だった中国が身近になり、 中医学の情報がいろいろ入って来てはおります。しかし、断片的にしか伝わっておりませんので、全体像をしっかりと把握しておかないと漢方と中医学を混同してしまう恐れが多分にあります。それを避けるために、両方とも勉強しておくのはとても重要なことです。

また、中医学の原則を知れば、養生や予防についてのアドバイスがしやすくなります。食事に関しても「何を食べれば良いのか」「どうやって食べればよいのか」、具体的な指示ができるようになります。

調べてみれば分かることですが、昔の中国では食べ物も薬もそうハッキリと区別されて摂られていたわけではありませんでした。唐の中頃に書かれた医学書には、「五穀、五畜、五菓、五菜、これらを用いて飢えを充たす場合、それらを食といい、それらで病いを治す場合、 それらを薬とよぶ」「うるち米、これを病いのときに取れば薬であり、お腹の空いたときに取れば食である」というような曖昧な表現が残っているだけです。※うるち米とは、もち米でなく普通のお米を指します。

昔も今も中国では、「薬食同源」という言葉だけが使われており、医食同源という言葉を使っても話は通じないようです。