漢方と中医学の違いを具体的に説明すれば、物事を直線的に見るか、複眼的に捉えるかの違いということも可能です。

日本は単一民族のため、お互いの意思疎通が比較的スムーズにできます。しかし中国は多民族国家のため、生活習慣や言語の違いなどが非常に大きく、相手をよほど注意深く観察しないと互いのことを理解することができません。おそらく、そのため相手をいろいろな角度から診て判断する方法に収束していったのでしょう。

また見方を変えれば、中国の殷・周・漢・隋・唐・宋・金・元・明・清など、各時代の多くの伝承医学の中で、主に漢の時代の部分だけを参考に編集されたものが漢方で、すべての時代をある程度網羅しながら編集されてきたものが中医学ということもできます。遣唐使以来、日本と中国の国交は鎖国の影響を受け、長く門を閉ざされてきたため、漢方と中医学では大きな違いが随所に出るのは当然の成り行きということになります。

現在、交通や通信手段の急激な発達により、ますます人類の生活空間は狭く濃密になってきています。そのため、アメリカやドイツ、フランスなどのヨーロッパの国々でも、東洋医学に興味を持つ人々が増えてくるのは必然の成り行きと云えましょう。しかし、ここで注意しなければならないのは、漢方や中医学だけが東洋医学全体を指しているわけではなく、他の東洋の国々の伝統医学をも含めて東洋医学という括りになっていることです。

アップルの創設者 スティーブ・ジョブズ氏や映画俳優のトム・クルーズ氏や歌手のマドンナさんなどが熱心な東洋医学の信奉者であるという話を日本ではよく見聞きします。しかし欧米などの状況を鑑みれば、西洋文化のアンチテーゼとして東洋文化が注目され、その延長上で東洋医学が脚光を浴びている感じがしますが、あなたはどう思われますか?