インフルエンザは風邪とは違います。風邪は、鼻やのどなどを含む上気道と呼ばれる空気の通り道の粘膜に、ウィルスなどの病原性微生物が感染して引き起こされる急性の感染症の総称です。専門的には「風邪症候群」といい、その代表がいわゆる風邪と呼ばれる普通感冒です。風邪の症状は、のどの痛み・鼻汁・くしゃみ・セキなどが中心で、全身症状はあまり見られません。発熱もそれほど高くなく、重症化することもほとんどありません。
インフルエンザも上気道の粘膜にウィルスが感染して引き起こされる急性の感染症の一つですが、のどの痛みや鼻汁などの風邪によく似た症状の他に、38~39℃以上の発熱・頭痛・関節痛・筋肉痛など、全身的な症状が強く見られます。風邪との大きな違いは、気管支炎、肺炎、小児では中耳炎、熱性けいれんなどを併発したり、重症化すると乳幼児や高齢者では死に至ることさえありえることです。また風邪とは異なり、短期間で爆発的に流行します。
日本では、感染力が強く激しい症状が出るインフルエンザも一般的な風邪と混同されがちですが、風邪とは全く違った病気として認識されたほうがよいでしょう。インフルエンザ流行のピークは2月頃になることが多いので、この季節、お年寄りや幼い子ども・体力の落ちている方・疲れている方は特に注意が必要です。※インフルエンザは突然の高熱や悪寒の症状から始まることが多く、鼻汁・鼻づまり・くしゃみなどの症状は後からでてくるようです。
日本で「風邪薬」と呼ばれているものは、解熱鎮痛剤・抗ヒスタミン剤・鎮咳去痰剤・カフェインの組み合わせにビタミンなどを加えたものであり、発熱や鼻汁・鼻づまり、セキなどの症状を軽くするだけで、ウイルスや細菌に直接効くものではありません。インフルエンザに罹患されたと感じたら、早めの受診をおすすめ致します。
「コロナの時代」早めに治療するということは、自分の身体を守るというだけでなく、周囲の人にインフルエンザをうつさないという観点からも重要な意味を持っています。私も、気温の低い時期の「冷たい水でのうがい」は逆効果になるので避け、『体温ぐらいのぬるま湯』を口に含み、下を向いて、うがいを励行するようにしているところです。