前回、熱性は大熱・熱・温・微温に分けられるといいましたが、熱と温の違いは共に身体を温めますが、熱のほうが作用が強く、温は緩やかに温めてくれるということです。また、食べ物の中に、大熱の性質を持つものはほとんどありません。

熱に属する食べ物として、ニンニク(生)・しし唐・山椒の実・唐辛子などがあります。温は、ニンニク(加熱したもの)・ねぎ・しょうが・羊肉など。微温は、鶏肉・サンザシなどです。北海道ではジンギスカン料理が有名ですが、中国の北京などでも羊肉のしゃぶしゃぶがよく食べられます。やはり生活の知恵として、寒い地方では身体をよく温めてくれる羊肉が重宝されているのでしょう。

寒性は大寒・寒・微寒・涼に分けられます。寒と涼の違いは、両方とも身体を冷やしますが、寒のほうが涼よりも冷やす力がより強いということです。大寒は、氷。寒は、バナナ・柿・スイカ・なすなど。微寒は、小麦・たけのこ・トマトなど。涼には、みかん・ほうれん草・大根・セロリ・きゅうり・緑茶など。

平性に属する食材としては、豚肉・牛肉・ぶどう・いちじく・いも・お米・とうもろこし・ゴマなどがあります。但し、牛肉は化膿しやすい食べ物なので、手術の前後や火傷(やけど)をしている場合、ニキビが出やすい方などは気をつけてください。

また、熱性の強弱は調理の方法によっても変化します。生より茹でたほうが、茹でるより焼く・煮る・蒸すほうが熱性は増します。炒める・油で揚げる調理法は、よりいっそう強くなります。面白いのはニンニクで、加熱したほうが逆に熱性は弱くなります。ニンニクに含まれる身体を温める働きのある成分が熱に弱いためです。

さらに、中医学や薬膳料理では食べ物を、酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味(塩辛い味)という「五つの味」に分類します。これらは説明が少し難しくなるので、後の方で徐々に説明していきたいと思います。