中医学では、食べ物を「熱性の食べ物」「寒性の食べ物」「平性の食べ物」というふうに食性で分類をします。

熱性の食べ物というのは、牛肉・羊肉・しょうが・ねぎ・ニラなどの体温を上げる、血圧を高くする、頭を興奮させるなどの作用を持っているものを指します。熱性の物ばかり食べていると体温が高くなって、皮ふが乾燥したり、血圧が高くなったり、興奮したり、のぼせたり、イライラしたり、不眠になったりします。自動車でいうとエンジンがオーバーヒートしているような状態です。

寒性の食べ物とは、体温を下げる働きがあるもの、血圧を低くする作用を持つもの、頭を沈静させる働きがあるものなどです。スイカ・メロン・きゅうり・そば・豆腐などが、それらに該当します。寒性の食べ物ばかり摂取していると、身体が冷え過ぎて血行状態が悪くなり、疲れが取れにくくなったり、新陳代謝や免疫力が衰えてくるので注意が必要です。

平性の食べ物とは、熱性の食べ物と寒性の食べ物の中間の性質で、摂取しても身体を温め過ぎたり、冷やし過ぎたりする心配がないものを指しています。米・イモ・とうもろこしなどの主食として食べれれているものなどが該当します。

人間の体内にはたくさんの酵素があり、生命維持のために非常に重要な働きをしています。酵素には至適温度というものがあり、ある一定の範囲の温度にならないと活性化することができません。体温が低くなると多くの酵素が活性を失い、体力や免疫力が低下するのはそのためです。 また逆に、体温が高くなり過ぎると酵素のタンパク質が変性を起こしてしまい、活性が無くなる場合もあります。それもまた、生命の維持に大きな支障をきたします。つまり、体温を正常な範囲内に保つということは、非常に重要な意味を持っているのです。

ここでは「熱性の食べ物・寒性の食べ物・平性の食べ物」というふうに大きく3つに分けて説明しましたが、熱性は「大熱・熱・温・微温」、寒性にも「大寒・寒・微寒・涼」という、さらなる4つの分類法があります。何だか複雑になってきましたが、それについては次回で説明します。